パソコン整備士による出張修理・サポート

アカウントとは何者なの?

各社の会員証のようなもの

会員証や会員番号のようなものが一番捉えやすいかもしれません。
今ではあまりないかもしれませんが、例えばレンタルビデオショップ、あるいは美容院の会員カードあたりがITやデジタルの世界では「アカウント」と置き換えられるかもしれません。

多くの場合、会員カードを店頭で作成します。
作成するにあたり「申込用紙」に【住所、氏名、年齢、性別、電話番号…】
といった情報を記入し、店員さんに提出すると会員番号が発行され、その番号がバーコードとして登録されます。
レジでバーコードを読み取れば、瞬時に登録した個人情報と紐付けられたデータが参照されます。

例えばレンタルビデオショップであれば
・レンタル品の有無
・レンタルしているビデオのタイトルや日付

美容院なら
・前回の来店日
・施術したヘアスタイル
・顔そり処理の特徴

と言った情報が一瞬で呼び出される仕組みです。

実際アカウントで何をするのか?

ほとんどの場合が「購入した商品やサービスの使用権利」を判別するために使われます。
これはアカウントの役割として一番大きなポイントです。

かつては商品の利用権利をメーカーに知らせる手段として約25桁程度の英数字の組み合わせで構成された「プロダクトキー」を入力する方法が主流でした。

現在ではアカウントを登録することにより、メーカーに「購入済み」や「サブスクリプション登録(月額のレンタルみたいな仕組み、通称サブスク)」を知らせる形が一般的になっています。
※アカウントに商品を登録するために25桁程度のプロダクトキーを入力することもあります。この場合、入力し終えたプロダクトキーはアカウントに即時紐づけられますので、一度きりしか使えません。

さらに、アカウントを作成することでメーカーが無償で提供しているサービスを利用できるケースもあります。
例えば…
・メールアドレスの提供
・制限付きクラウドストレージ

特に「メールアドレスの提供」は、別の話とも絡んでくるのでややこしくなるポイントの一つです。

無償で提供されるメールアドレスのややこしさ

アカウント登録で必須の項目が「メールアドレス」です。
そして、ここでよく混乱が起こります。

基本的に、
【アカウント名=メールアドレス】
という形が多くのサービスで採用されます。

初心者の場合は、こんな流れになりがちです。

・サービス提供会社で無償のメールアドレスを取得
          ↓
・ そのまま同じ会社のアカウントを作成
          ↓
・運用開始

実はアカウントを作るときに使うメールアドレスは「実際に送受信できるものであれば何でもいい」というルールになっています。
つまり、アカウント登録ごとに会社から無償メールアドレスをもらう必要は本来ないわけです。

多くの人が「アカウントを作る=新しいメールアドレスも作るもの」と思い込んでしまいますが、実はそれは必要ありません。

言い換えれば
自分がすでに持っているメールアドレスを使えば、ひとつのアドレスで複数の会社のアカウントを作成できる
ということです。

アカウント情報の重要性(デジタル資産という考え方)

新規に作成したアカウント名(メールアドレス)と、それに対応する「ログインパスワード」などに関する情報は【デジタル資産】と考えることができます。

アカウントを作成するという行為は、サービスを提供する会社から「サービスの使用権利」を与えられるわけなのです。
そのサービスが無料であっても有料であっても、その価値は「資産」になるわけです。

< 例:Microsoftアカウント >
普段何気なく利用している「Excel、Word」などのMicrosoft Office製品は無料で利用しているわけではありません。
量販店でOffice搭載のパソコンを20万円で購入したとしましょう。
この場合、購入金額の約3万円前後はMicrosoft Office(ExcelやWord)を利用するための「権利」の費用です。
つまり、パソコン本体と一緒にソフトの使用権利の代金も支払っていることになります。

< ここで重要なのは >
もしアカウント名(メールアドレス)やパスワードを忘れてしまうと、
そのソフトの利用権利=約3万円程度を捨ててしまっていることと同じことになります。
言い換えると、たった十数文字の組み合わせに3万円程度の価値がある…と言えます。

アカウント作成の注意点

ここを間違えると後に大きなトラブルに発展する可能性があります。

アカウント作成に登録するアカウント名(メールアドレス)について、「どんなメールアドレスでもよい」というニュアンスで伝わったかもしれませんが、実はここに罠があります。

< よくあるケース >
特に注意が必要なのは、インターネットプロバイダ(以下プロバイダ)から割り当てられたメールアドレスをメインで使っている場合です。

理由はシンプルで、将来プロバイダを乗り換えた際、そのメールアドレスが使えなくなる可能性があるからです。
・契約中は問題なく利用できる
・しかし解約後は、メールアドレスの利用権が消えるケースが多い

もちろん、解約後でもメールアドレスを引き継ぐオプションを提供しているプロバイダもありますが、知識がなければそのまま解約してしまい、後から気づいても取り戻せない…というトラブルがよくあります。

【※プロバイダ=インターネットの接続サービスを提供している会社になります。NTT回線とは無関係のことが多いです。】

< 同じリスクがある「キャリアメール」 >
例えばdocomoを利用していて、auに乗り換えてしまうとdocomoのメールアドレスは使えなくなるため、同じ状況になります。

一番良い方法は?

①まず「アカウントとは何か?」を理解する。

すべてを完璧に覚える必要把握する必要はありません。
「どこの会社の、どんなサービスを、どんな条件で利用する為に作成したアカウントか」
このポイントだけは必ず把握しておきましょう。

残念ながら令和の現代では、こうした情報は自分自身で管理する必要があります
「メーカーが全部やってくれる」「サポートに任せれば安心」という時代ではありません。

②アカウント名とパスワードを必ず管理・保管する。
「難しそう…」と感じても、ここだけは最優先です。

  • どのサービスのアカウントか
  • アカウント名(メールアドレス)
  • パスワード

最低限この三つをしっかり記録し、紛失しないようにしましょう。

③メールアドレスの選び方
登録に使うメールアドレスは、プロバイダから割り当てられているアドレスは避けるのが無難です。
将来乗り換え時に使えなくなるリスクがあるからです。

代わりに、各社が無料で提供しているメールアドレスを使うのがおすすめです。

  • Microsoft社:example@outlook~
  • Google社:example@gmail~
  • Yahoo社:example@yahoo~

もちろん、これらのアカウント名(メールアドレス)とパスワードも忘れずにしっかり管理しましょう。

  • まとめ

☞アカウントは各社の会員証のようなもの
☞登録に使うメールアドレスは、プロバイダから割り当てられたもの以外を推奨
☞作成・登録したメールアドレス(アカウント名)やパスワードは必ず管理・保管
☞可能な範囲でアカウントの仕組みを理解しておく


これらが、アカウントを扱う上で大切なポイントです。

以上、いかがだったでしょうか?
アカウントは現代において非常に重要な情報です。
アカウント名・メールアドレス・IDやパスワードは、場合によっては金銭的価値にも直結する「デジタル資産」ですので、ぜひ慎重に扱ってください。